腎臓食
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腎臓食
腎臓の働きが良くないといわれた人の食事について
Ⅰ 腎臓の働きについて
腎臓は食事として摂取した、たんぱく質を体内で代謝・分解してできる老廃物や酸、身体に必要以上に摂取された余分な水分や食塩を尿へ排泄しているため、たんぱく質や食塩をとりすぎると、腎臓に過剰な排泄という負担をかけてしまいます。
腎臓の働きについての詳しい説明はこちら→「腎臓の働き https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/working/index.html」
Ⅱ 腎障害の食事療法とは
腎障害の食事療法では、たんぱく質や塩分のとりすぎは腎臓に負担をかけてしまいます。
これらを制限する事で弱っている腎臓を保護していきます。
食事療法の意義
- 腎機能低下や腎障害の進行を抑える
- 体内の食塩、水分、カリウム、リンなどの量や濃度のバランスを保つ
- 老廃物による尿毒素が体内に蓄積するのを抑える
食事療法のポイント
- たんぱく質を控える
- 塩分を控える
- エネルギーは適正量を十分にとる
- カリウムの過剰摂取に気をつける
- 状態によっては水分を制限する
①たんぱく質制限について
体の3大栄養素として糖質、たんぱく質、脂質が挙げられます。
糖質や脂質は体の中で燃焼すると水と二酸化炭素になり、腎臓や肺から排泄されやすいのですが、たんぱく質は分解されると7~8割は窒素を含んだ老廃物となり排泄するとき腎臓に負担がかかります。
そのため、たんぱく質の制限が必要となります。
体を維持するための最小限のたんぱく質は体重1kg当たり0.6g/日が必要とされ、一日換算で約30g~40gです。
制限はあっても、たんぱく質は体にとって大切な栄養ですから魚・肉・大豆・卵などのたんぱく質を中心に摂りましょう。
まずは、一日のたんぱく質の量を出してみましょう。
通常、たんぱく質は標準体重1㎏当たり0.6gが必要とされているので
〔例〕 標準体重50㎏の人の場合 50×0.6=30g これが一日のたんぱく質の量となります。 |
穀物 | 1回に食べる目安量 | たんぱく質(g) |
ごはん | 180g(茶碗1杯) | 4.5 |
食パン | 60g(6枚切り1枚) | 6.0 |
ゆでそば | 180g(1袋) | 9.0 |
ゆでうどん | 240g(1袋) | 6.0 |
豚肉 | 60g(1切れ) | 12.0 |
さけ | 60g(1切れ) | 12.0 |
卵 | 50g(1個) | 6.0 |
豆腐 | 50g(1丁300g) | 3.3 |
小豆(ゆで) | 40g | 3.3 |
牛乳 | 200ml(1本) | 6.7 |
ほうれん草 | 140g(1株20g) | 3.0 |
キャベツ | 230g(中葉1枚50g) | 3.0 |
◎肉・魚・卵・豆腐などのたんぱく質に注意しましょう。
肉や魚、卵、豆腐にはたんぱく質が多く含まれており、食べ過ぎてしまう食品でもあるので注意が必要です。
◎甘いものに含まれるたんぱく質に注意しましょう。
甘いものには意外にたんぱく質が多く含まれています。
お菓子には小豆や牛乳、卵が使われているため、エネルギーをとろうとして食べ過ぎると、たんぱく質をとりすぎてしまう可能性があります。
例えば、ショートケーキひとつには卵1個分と同程度のたんぱく質が含まれます。
ショートケーキ90g |
卵1個50g |
②塩分制限について
塩分の過剰摂取は腎臓に負荷をかけ、むくみなどの症状や高血圧の恐れがあります。
1日の塩分摂取量は5~7g以下に控えましょう。
☆ハムやソーセージ、かまぼこなどの魚肉練り製品は、塩分量が多いため、使用量に注意が必要です。
食品名 | 目安量 | グラム数 | 塩分量(g) |
しらす干し | 大さじ1 | 10 | 0.4 |
かまぼこ | 1.5cm厚2切 | 40 | 1.0 |
はんぺん | 中1枚 | 80 | 1.2 |
さつまあげ | 小判型1枚 | 30 | 0.6 |
焼きちくわ | 半分 | 40 | 0.8 |
ウィンナー | 1本 | 20 | 0.4 |
ロースハム | 1枚 | 20 | 0.5 |
ボンレスハム | 1枚 | 20 | 0.6 |
ベーコン | 1枚 | 20 | 0.4 |
マーガリン | 小さじ2 | 10 | 0.1 |
マヨネーズ | 大さじ1 | 15 | 0.3 |
フレンチドレッシング | 大さじ1 | 10 | 0.3 |
☆例えば、ラーメン1杯では、約7.6gの塩分が含まれています。
スープまで全部飲んでしまうと1日分の塩分量を1食でオーバーしてしまうので、
汁を残すなどして塩分を控えるとよいでしょう。
◎香辛料、香味野菜を上手に利用しましょう。
香辛料(唐辛子・こしょう・ローリエ・わさび)や香味野菜(しょうが・にんにく・ねぎ・しその葉・パセリなど)を料理に利用すると、薄味でもおいしく食べられます。
◎塩分を減らすポイント
- 塩分の多い加工食品(かまぼこ・はんぺん・ちくわなど)はできるだけ避けましょう。
- 醤油、ソースなどはかけるのではなく、つけて食べましょう。
- どの料理にも塩分をつけるのではなく、塩は1、2品に限って使いましょう。
- 調味料は計量して使いましょう。
◎調理方法を変えて塩分を減らしましょう。
同じ材料を使用して調理方法を変えた場合の塩味の食べやすさを比較してみました。
ひらめ・・・・・70g
水・・・・・・・20ml
砂糖・・・・・・1.5g
酒・・・・・・・3ml
しょうゆ・・・・4ml
食塩 0.6g
ひらめ・・・・・70g
小麦粉・・・・・7g
酢・・・・・・・6ml
砂糖・・・・・・3g
たかのつめ
食塩 0g
南蛮漬けのように酸味と香辛料で調味をすると無塩でもおいしく食べやすくなります。
このように酸味、香辛料の利用、味を食品の表面にのみつける方法などは塩分を減らすための調理に適したやり方です。
◎切り方を工夫しましょう。
同じ食品でも、切り方を変えるだけで、塩味の感じ方が異なります。
マッシュポテトよりも粉ふきいもの方が、同じ塩分量でも塩味を強く感じます。
切り方 | 料理名 | 食塩濃度(%) |
つぶし(蒸してつぶす) | マッシュポテト | 0.7~0.9 |
角切り(1.5cm角) | サラダ | 0.6~0.8 |
乱切り(1個20g) | 粉ふきいも | 0.5~0.7 |
③エネルギー摂取について
エネルギーが不足すると、摂取したたんぱく質を有効に利用する事ができません。
通常は、標準体重1kg当たり30~35kcalで計算します。
〔例〕 標準体重60kgの人の場合
60×35=2100kcal (一日のエネルギー量)
◎バランスのよい食事をしましょう。
偏食をせず、1日30種類以上の食品を食べましょう。
◎1日3回、規則正しく食べましょう。
3度の食事の内容が均一になるように、食べすぎなどに注意しましょう。
◎たんぱく質を制限すると食事量が減少しやすく、十分なエネルギーが摂れなくなる事があります。
①油類で上手にエネルギーアップしましょう。
油は少量で高カロリーです。天ぷらやフライなど、毎日1回揚げ物をすると、楽にエネルギーがとれます。
サラダならマヨネーズ、パンにはマーガリンやバターを。コーヒーには生クリームがおすすめです。
チャーハンやかた焼きそばなど、主食に油を使うのもよいです。
②甘いものでエネルギーの補充をしましょう。
市販の菓子でたんぱく質が少ないのは、あめ・アップルパイ・シャーベットなどです。
砂糖を紅茶、コーヒーなどに入れても、カロリーがとれます。
砂糖の代わりに粉飴などの特殊食品を使うのもよいでしょう。
④カリウムについて
腎不全が進んでカリウムの排除が行われなくなると高カリウム血症となり、症状として、だるさや体のしびれ、死に至るような不整脈を生じる事があり、食事に対する注意が必要です。
カリウムは生野菜、いも、生の果物に含まれているため、多量に摂取するのは控える方がよいでしょう。
●カリウムを軽減する調理法●
- 腎機能低下や腎障害の進行を抑える
- 体内の食塩、水分、カリウム、リンなどの量や濃度のバランスを保つ
- 老廃物による尿毒素が体内に蓄積するのを抑える
調理法を変える事で、カリウムを1/3から2/3に減らす事ができます。
しかし、ゆでてもカリウムの多く残る食品(いも類、豆類、ほうれん草)は摂取量に注意しましょう。
また、缶詰は果物よりカリウムが少ないのですが、シロップの中にカリウムが溶けているので、飲まないようにしましょう。
⑤リンについて
リンの値が高い場合には制限が必要です。
⑥水分について
腎不全が進んでカリウムの排除が行われなくなると高カリウム血症となり、症状として、だるさや体のしびれ、死に至るような不整脈を生じる事があり、食事に対する注意が必要です。
カリウムは生野菜、いも、生の果物に含まれているため、多量に摂取するのは控える方がよいでしょう。